2021-05-10
国家公務員法等一部改正法案が、4月27日の衆院本会議で可決され参院に送付されている。同法案は、国税職員など現在60歳となっている国家公務員の定年を段階的に引き上げ65歳にすることを柱にしたものだが、政府は、定年引上げ期間中に定年退職者が生じない場合、継続的な新規採用をするため、一時的に定員を増加する方針であることを、衆院の審議で明らかにしている。
定年引上げは、2023年度から2年ごとに1歳ずつ引き上げ、2031年度に65歳にする。これに併せて現行の再任用制度は最終的に廃止されるが、定年の段階的な引上げ期間中は、定年から65歳までの間の経過措置として残す。一方、60歳に達した日以後定年前に退職した職員を、本人の希望により、短時間勤務職員として採用(任期は65歳まで)することができる「定年前再任用短時間勤務制」を導入する。
昨年の通常国会に提出された同法案は、検察幹部の定年を特例で延長できる規定が盛り込まれていたことから野党が反発して、審議未了で廃案となった。これを踏まえ、今国会提出の法案では特例規定を削除。4月23日の衆院内閣委員会での審議後の採決では、修正案を提出した日本維新の会を除く会派が全て賛成した。衆院での実質審議は、この日一日限りだった。
同委員会では、新規採用に関して、神田憲次議員(自民)が「定年引上げ年度時は、定年退職者が生じない。仮に定員が一定ならば、その翌年度には新規採用者数が大幅減少になるが、これでは組織に年齢構成のゆがみが生じてしまう。定年を引き上げても十分に新規採用できるのか」と質問。これに対し、河野太郎国家公務員制度担当大臣は、「定年引上げ期間中に調整が必要な時に、一時的に定員を増やすことは当然」と答弁している。
なお、国家公務員法等一部改正法案は、地方公務員の定年を国に準じると規定した地方公務員法改正案と併せて今国会での成立を図る。自民、立憲民主両党は国会で優先して審議する方針で、昨年の通常国会で厳しい批判を浴び、廃案の引き金となった検察幹部の定年延長に関する特例規定が削除されたことから、今国会での成立は確実とみられている。成立すれば施行は2023年4月1日とされている。