金融庁、金融所得課税の一体化で研究会を発足

金融庁では、金融所得課税の一体化の方向性や今後の取り組むべき課題等について、広く議論を行うため、学識経験者をメンバーとする研究会を設置した。すでに5月10日には第一回会議をオンラインで開催している。金融所得課税の一体化については、金融商品間の課税の公平性・中立性を図り、投資家にとって簡素で分かりやすい税制の実現を目指すという観点から、これまでも議論がされてきた。

研究会は、2021年度与党税制改正大綱の検討事項で、「デリバティブを含む金融所得課税の更なる一体化については、総合取引所における個人投資家の取引状況等も踏まえつつ、投資家が多様な金融商品に投資しやすい環境を整備する観点から、時価評価課税の有効性や課題を始めとして多様なスキームによる意図的な租税回避行為を防止するための具体的な方策を含め、関係者の理解を得つつ、早期に検討する」と記載されたのを受けたもの。

金融商品間の損益通算の範囲については、2016年1月より、上場株式等に加え、特定公社債等にまで拡大された。しかし、デリバティブ取引・預貯金等については、現在、損益通算が認められていない。このため、金融庁では、投資家が多様な金融商品に投資しやすい環境の整備は道半ばと捉えている。デリバティブ取引は、株式や債券、通貨、外国為替などの金融商品から派生した商品の取引の総称。

デリバティブ取引の代表的なものとしては、先物取引、オプション取引、スワップ取引がある。FX(外国為替証拠金取引)も先物取引としてデリバティブ取引に該当する。例えば、FXの課税の取扱いについては、「先物取引に係る雑所得等」として他の所得と区分され、申告分離課税される。他の先物取引に係る雑所得等との損益通算はできるが、それ以外の所得との損益通算はできない。