2021-06-04
経済社会のデジタル化を踏まえ、経理の電子化による生産性の向上、記帳水準の向上等に資するため、2021年度の税制改正において、「電子帳簿保存法」の改正等が行われ(2022年1月1日施行)、抜本的な見直しがなされたことを踏まえ、国税庁はその周知を図っている。電子帳簿保存法は、原則紙での保存が義務づけられている帳簿書類について電子データでの保存を可能とすることなどを定めた法律。主な改正事項は、以下の通り。
電子帳簿等保存に関する改正事項では、税務署長の事前承認制度を廃止。これまで、電子的に作成した国税関係帳簿を電子データにより保存する場合には、事前に税務署長の承認が必要だったが、事業者の事務負担を軽減するため、事前承認は不要とされた。2022年1月1日以後も改正前の要件を満たして保存等を行おうとして承認を受けようとする場合には、承認申請書を2021年9月30日までに所轄税務署長宛提出する必要がある。
また、一定の国税関係帳簿について優良な電子帳簿の要件を満たして電子データによる備付け及び保存を行い、本措置の適用を受ける旨等を記載した届出書をあらかじめ所轄税務署長に提出している保存義務者について、その国税関係帳簿(優良な電子帳簿)に記録された事項に関し申告漏れがあった場合には、その申告漏れに課される過少申告加算税が5%軽減される措置が整備された。
スキャナ保存に関する改正事項では、税務署長の事前承認制度が廃止され、タイムスタンプ要件、検索要件等について、(1)タイムスタンプの付与期間が、記録事項の入力期間と同様、最長約2ヵ月と概ね7営業日以内とされ、(2)受領者等がスキャナで読み取る際の国税関係書類への自署が不要とされた。また、相互けん制、定期的な検査及び再発防止策の社内規程整備などの適正事務処理要件が廃止された。
電子取引に関する改正事項では、タイムスタンプ要件に係るタイムスタンプの付与期間及び検索要件に係る検索項目について「スキャナ保存に関する改正事項」と一部同趣旨の改正が行われたほか、基準期間の売上高が1000万円以下である小規模な事業者について、税務職員による質問検査権に基づく電子データのダウンロードの求めに応じることができるようにしている場合には、検索要件の全てが不要とされた。
この件については↓
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/12.htm