あらゆる税務手続きが税務署に行かずにできる社会

国税庁はこのほど、「税務行政の将来像」(2017年6月公表)を改定し、「デジタルを活用した、国税に関する手続きや業務の在り方の抜本的な見直し」に取り組んでいく方針を明確にした。そして、税務行政のデジタル・トランスフォーメーションを公表し、国税の申告や納付も、デジタルを活用すれば、より簡単に、より便利にできるようになるとした上で、将来構想として、あらゆる税務手続きが税務署に行かずにできる社会を提示している。

まず、「確定申告(納付・還付)」(申告の簡便化)では、給与や年金の収入金額、医療費の支払額などの確定申告に必要なデータを申告データに自動で取り込むことにより、数回のクリック・タップで申告が完了する仕組みの実現を目指す。国税庁では、マイナポータルを通じて入手したデータを申告データに自動的に取り込む仕組みの整備を進めている(既に取込可能:生命保険料、特定口座取引等。2022年から損害保険料、ふるさと納税等)。

次に、「申請・届出」(申請等の簡便化)では、一度提出した情報は、二度提出は不要とする「ワンスオンリー」を徹底する観点から、申請や届出については、その要否を不断に見直す。その上で、必要なものは、入力事項を最少限にし、数回のクリック・タップで手続きが完了する仕組みの実現を目指す。これまでも、e-Taxで国に提出した財務諸表データについては地方自治体への提出不要など、ワンスオンリーの実現に向けて取り組んでいる。

また、「特例適用状況の確認等」(自己情報のオンライン確認)では、青色承認、消費税簡易課税等の特例適用や納税(未納税額がない旨等)の状況については、マイナポータルやe-Taxにより確認できる仕組みの実現を目指す。マイナポータルの「あなたの情報」又はe-Taxのアカウント画面において、過去に提出した申請・届出の状況や納税の状況を確認する。e-Taxで送信した申告データは現状でもe-Tax上で確認できる。

そのほか、税務署に行かずにできる「相談」では、税務手続きに関する不明な点は、オンラインで調べればすぐに解決できるよう、チャットボットやタックスアンサーについて、内容の充実や使い勝手の向上を図っていく。また、マイナポータルやe-Taxのお知らせを通じ、申告の要否や適用できる特例など、個々の納税者の状況に応じた情報(カスタマイズ情報)をプッシュ型で提供する仕組みの実現を目指す。

税務行政のデジタル・トランスフォーメーションは↓
https://www.nta.go.jp/about/introduction/torikumi/digitaltransformation/pdf/syouraizo2_r0306.pdf