2021-07-02
2020年分所得税等の確定申告では、所得税の申告書提出件数が2249万3千件で、過去最高だった2008年分(2369万3千件)を5.1%下回っている。それでも2011年分以降はほぼ横ばいで推移しており、こうした2千万件を超える納税者数に対応するために、国税庁は、確定申告における基本方針として、「自書申告」を推進、そのためのICT(情報通信技術)を活用した施策に積極的に取り組んでいる。
国税庁のホームページ上で申告書が作成できる「確定申告書等作成コーナー」やe-Taxなど、ICTを利用した所得税の確定申告書の提出人員は全体で1726万4千人にのぼり、2019年分より8.5%増加。所得税の確定申告書の提出人員に占める割合は前年分より4.6ポイント上昇の76.8%に達した。贈与税の申告でも、提出人員48万5千人のうち81.8%(39万7千人)がICTを利用、その割合は前年分から2.5ポイント上昇している。
署でのICT利用は、署のパソコンで申告書を作成して「e-Tax」323万2千人、同「書面での提出」21万4千人の計344万6千人で、前年分に比べ▲9.6%減少。一方で、自宅などでのICT利用は、「HP作成コーナーで申告書を作成して書面での提出」465万5千人、「同e-Tax」313万9千人、「民間の会計ソフトで申告書を作成してe-Tax」476万人の計1255万4千人で同14.5%増と、自宅等でのICT利用が増加している。
e-Taxでの所得税の申告書提出件数は、前年比12.7%増の1239万4千人となり、所得税の確定申告書の提出人員の5割半ば(55.1%)がe-Taxを利用したことになる。また、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、自宅からスマホを使った申告人員が101万8千人で前年分(47万3千人)から2.2倍に増えた。特に、マイナンバーカードを利用したスマホ申告は43万2千人で前年分(5万9千人)から約7倍に増加した。
このように、ICTを活用した施策は大きく伸びたが、閉庁日における申告相談は今回も2月21日と2月28日の日曜日に、228税務署を対象に、税務署のほか合同会場・広域センターにおいて実施。これらの会場における両日の相談件数は前年比▲34.7%減の9万6千件、申告書収受件数は同▲42.6%減の13万3千件と大幅に減少し、ここにも新型コロナウイルス感染症拡大の影響がうかがわれる結果となった。