2021-07-05
国税庁は7月1日、相続税や贈与税の土地等の課税評価額の基準となる2021年分の路線価及び評価倍率を公表した。新型コロナウイルスの影響により、今年1月1日時点の全国約32万地点(継続地点)における標準宅地の前年比の変動率の平均は▲0.5%(昨年+1.6%)と、6年ぶりの下落となった。路線価日本一は、36年連続で東京・銀座「鳩居堂前」で1平方メートル4272万円(昨年4592万円)だったが、▲7.0%と9年ぶりに下落している。
都道府県別の路線価をみると、標準宅地の評価基準額の対前年変動率の平均値の上昇率が「5%未満」の都道府県は、昨年分の2府17県の計19府県から7道県に減少。上昇率が「5%以上」の都道府県は、昨年の2都県からゼロとなった。横ばいは山形県のみ。下落した都道府県は昨年の26県から39都府県に増加。ちなみに、上昇率トップは福岡県の1.8%、最大の下落率は静岡県の▲1.6%だった。
一方、都道府県庁所在都市の最高路線価が上昇した都市は、昨年の38都市から札幌・仙台・宇都宮・千葉・横浜・福井・佐賀・大分の8都市へと大幅に減少し、8都市とも上昇率が5%未満だった。横ばいは17都市(昨年8都市)で、下落は22都市(同1都市)。内訳は、下落率「5%未満」が17都市(同1都市)、「5%以上10%未満」が盛岡・東京・大阪・神戸の4都市(同0都市)。「10%以上」は奈良市(▲12.5%)の1都市のみだった。
都道府県庁所在都市の最高路線価では、1位は東京・中央区銀座5丁目の「銀座中央通り」で、1平方メートル当たりの路線価は前年から▲7.0%下落の4592万円。以下、大阪・北区角田町の「御堂筋」1976万円(増減率▲8.5%)、横浜市西区南幸1丁目の「横浜駅西口バスターミナル前通り」1608万円(同+3.1%)、名古屋市中村区名駅1丁目「名駅通り」1232万円(同▲1.3%)と続く。
以上のように、2021年分の路線価は6年ぶりの下落となったが、その要因は、新型コロナウイルス感染拡大により、インバウンド(訪日外国人)需要が消失したことや、飲食店等への営業自粛・営業時間短縮要請の影響で、観光地や繁華街、商業地の地価が下落したことにある。今後の地価の推移によっては、昨年分と同様に、路線価等を減額補正(下方修正)する措置を導入する可能性もあるとみられている。
路線価へのアクセスは↓
http://www.rosenka.nta.go.jp/