2021-07-15
デジタルの活用によりサービスや仕事の在り方を変革する、デジタル・トランスフォーメーション(DX)を推進する動きが社会全体で広まっているが、税務行政についても、国税庁がこの6月に将来像を示し、取組みが積極的に進められている。将来像では、「納税者の利便性の向上」と「課税・徴収の効率化・高度化」を2本の柱としつつ、「あらゆる税務手続きが税務署に行かずにできる社会」に向けた構想を示している。
2本柱の一つ、課税・徴収の効率化・高度化に関する取組み状況の中で、これまで国税局や税務署が紙ベースで行っていた金融機関への預貯金の照会をオンライン化することが明らかになった。官民の業務の効率化を図る観点から、これまで書面や対面により行っていた(1)金融機関への預貯金照会や(2)税務調査における必要な資料の提出について、オンライン化を図る。(1)は2021年10月から、(2)は2022年1月から実施する予定だ。
現状の金融機関に対する預貯金照会は、税務署側が対象者を選定して照会書を作成し、決済・官印押捺して郵送する。金融機関側では、照会文書を開封・仕分けし、受付管理簿に記載後、口座を検索・取引明細を確認して回答書を作成し、決済・社印押捺して税務署側に郵送する。税務署側は、回答書を開封・仕分けし、システム入力するという、官民ともに相当の業務負担が生じている。
こうした業務がオンライン化されれば、税務署・金融機関双方が、税務調査や滞納整理のために必要な預貯金情報について専用回線により照会・回答する形になり、書類の発送や封入・仕分けといった作業は不要になることから、作業の大幅な効率化が期待されることになる。また、税務署が納税者に対して求める、税務調査における必要な資料の提出は来年1月からe-Taxでの送信が可能になる予定だ。