2021-08-04
2021年度税制改正において、国や地方自治体が実施する子育てに係る助成等が非課税となった。国や自治体は2018年ごろから、待機児童対策や働き方改革の一端として、ベビーシッター利用支援事業を展開しているが、これまで、ベビーシッターの支援事業における利用料助成や、認可外保育施設等に対する地方公共団体独自の利用料助成などの国、地方公共団体からの助成は、原則課税所得となり、雑所得として確定申告を行う必要があった。
例えば、東京都のベビーシッター利用支援事業の場合、0~2歳児の待機児童がいる保護者や、育児休業を1年間取得した後に復職する保護者は1時間の利用料(最大2400円(税込))をわずか150円(税込)で利用することができ、差額の最大2250円は公費で負担される。この公費で負担した助成金が、ベビーシッター利用者にとって所得税法上の「雑所得」として課税されていた。
もし、給与収入500万円の人が4月~12月の9ヵ月にわたって月平均50時間ベビーシッターを利用すると、雑所得が約100万円となり、確定申告によって所得税と住民税あわせて約21万円が新たに課税されるとの試算も示されている。それが、昨今の新型コロナウイルス感染症に伴う休園・休校に対応するため、ベビーシッター料金等の助成について特例で非課税となっていた措置を、そのまま継承する形で非課税となる。
今回の改正においては、学資金が所得税法上非課税とされていることや、幼児教育・保育無償化により国から受ける補助については子ども・子育て支援法で非課税とされていることなども踏まえ、子育て支援の観点から、保育を主とする国や地方公共団体からの子育てに係る助成等について、所得税を非課税とする措置を講ずることとされた。適用は、2021年分以後の所得税から非課税となる。
非課税措置の対象範囲としては、ベビーシッターの利用料に対する助成のほかに、認可外保育施設等の利用料に対する助成や、一時預かり、病児保育などの子を預ける施設の利用料に対する助成、各助成と一体として行われる生活援助・家事支援、保育施設等の副食費・交通費等の助成についても非課税となる。なお、子育て支援の観点から行う趣旨を踏まえ、子育て支援に係る助成であれば子どもの年齢によって対象を区切ることはしていない。