2021-08-11
税制改正で2015年1月1日以降に発生する相続税の基礎控除額が、改正前と比べて40%引き下げられて以降、相続税の課税対象者が増加したことから、相続対策として生前贈与が注目されている。贈与税は、個人から財産をもらったときにかかる税金だ。自分が保険料を負担していない生命保険金を受け取った場合、あるいは債務の免除などにより利益を受けた場合などは、贈与を受けたとみなされて贈与税がかかる。
相続対策には、「暦年贈与」と「相続時精算課税」などの生前贈与があり、一定の要件に該当する場合に「相続時精算課税」を選択することができる。贈与税は、一人の人が1月1日から12月31日までの1年間にもらった財産の合計額から基礎控除額の110万円を差し引いた残りの額に対してかかる。したがって、1年間にもらった財産の合計額が110万円以下なら贈与税はかからない。この場合、贈与税の申告は不要となる。
つまり、定期金給付契約に基づくものではなく、毎年贈与契約を結び、それに基づき毎年贈与が行われ、各年の受贈額が110万円以下の基礎控除額以下である場合には、贈与税がかからないので申告は必要ない。ただし、毎年100万円ずつ10年間にわたって贈与を受けることが、贈与者との間で契約されている場合には、契約をした年に、定期金給付契約に基づく定期金に関する権利の贈与を受けたものとして贈与税がかかるので注意したい。
相続時精算課税制度とは、60歳以上の贈与者(親・祖父母)が20歳以上の受贈者(子・孫)に生前贈与する際に利用可能な制度だ。相続時精算課税制度では、贈与額が累計2500万円以内であれば贈与税がかからない。この特別控除額は贈与税の期限内申告書を提出する場合のみ控除することができる。利用条件は限られているものの、もし利用できれば大幅な相続税対策が可能だ。
また、「相続時精算課税」を選択した贈与者ごとにその年の1月1日から12月31日までの1年間に贈与を受けた財産の価額の合計額から2500万円の特別控除額を控除した残額に対して贈与税がかかる。前年以前にこの特別控除の適用を受けた金額がある場合には、2500万円からその金額を控除した残額がその年の特別控除限度額となる。
なお、相続時精算課税を適用する場合には、納税額がないときであっても財産をもらった年の翌年2月1日から3月15日の間に申告する必要がある。税金は金銭で一度に納めるのが原則だが、贈与税については、特別な納税方法として延納制度がある。延納は何年かに分けて納めるものだが、この延納を希望する場合は、申告書の提出期限までに税務署に申請書などを提出して許可を受ける必要がある。