2021-08-27
低未利用土地の譲渡に係る100万円控除制度は、地方部を中心に全国的に空き地・空き家が増加するなか、新たな利用意向を示す者への土地の譲渡を促進するため、個人が保有する低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の金額から100万円を控除することで、土地の有効活用を通じた投資の促進、地域活性化、更なる所有者不明土地の発生の予防を図ることを目的に、2020年7月1日から開始している。
まだ新しい制度であるため、制度の概要等が知られていないが、具体的には、個人が、2020年7月1日から2022年12月31日までの間において、都市計画区域内にある一定の低未利用土地等を500万円以下で売った場合には、その年の低未利用土地等の譲渡に係る譲渡所得の金額から100万円を控除することができるものだ。その譲渡所得の金額が100万円に満たない場合には、その譲渡所得の金額が控除額になる。
国土交通省によると、制度開始から同年12月までの半年間に、自治体が低未利用土地等の譲渡に対して確認書を交付した件数は2060件。全ての都道府県で交付実績があり、平均して約44件となった。また、譲渡前の状態については、空き地が約6割で、譲渡後の利用は、住宅が約6割だった。確認書は、申請のあった土地等について、都市計画区域内の低未利用土地等であることや、譲渡後の利用等を確認して自治体が発行するもの。
この特例の適用要件の一つに売った年の1月1日において所有期間が5年を超えることがあるので、土地の譲渡は、長期譲渡所得となりその20%(所得税+住民税)と復興特別所得税2.1%が課税される。特例が適用できれば、最大100万円が控除されるので、控除額の22.1%分、最大約22万円の減税となる。この特例措置は、売却時の負担感を軽減することで売却インセンティヴを付与し、土地に新たな価値を見出す者への譲渡を促進する。
国交省が公表している低未利用土地等確認書の交付事例では、北九州市に住む所有者が、両親が住んでいた山形県鶴岡市の空き家を解体して売却し、新たに住宅用地として譲渡したものがある。空き家について、所有者が管理のために定期的に現地を訪問するなど、交通費や宿泊費等の負担があったものの、この特例により、13万円ほど税負担が軽減され、解体後売却することができたという。
国交省の発表資料は↓
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001416876.pdf