日商、コロナ禍で困窮する中小企業支援に改正意見

日本商工会議所がこのほど発表した「2022年度税制改正に関する意見」では、コロナ禍により中小企業はかつてない危機的状況に直面しており、ワクチン接種を加速化させ、その効果を踏まえた社会経済活動正常化へのロードマップと、困窮する地域経済や中小企業が将来に希望を持てる成長戦略を早急に示し、地域や中小企業の挑戦を税制面から強力に支援していく必要があると主張した。

主な内容をみると、コロナ禍で蒸発した飲食需要等の喚起として、コロナ禍による活動制約で困窮する飲食事業者等の救済に向けた交際費課税の見直しを要望。現行の特例措置(中小法人は800万円までの全額損金算入等が可能)の延長はもちろん、コロナ対策として、ワクチンの接種率が一定程度に達した時点から、事業者に対する活動制限の緩和とあわせて、一定の期間、全額損金算入を認めること等を含め、抜本的に見直すべきとした。

さらに、個人による飲食需要の喚起に向けた外食費控除(仮称)の創設を要望。法人のみならず、個人の飲食需要の喚起に向け、個人に対する思い切った税制上のインセンティブを講じる必要があることから、現行の医療費控除に倣い、個人が確定申告により、一定額(年間10万円等)を超える部分の外食費を所得税の課税所得から控除する「外食費控除(仮称)」を創設すべきとの意見を示した。

また、地域の観光需要の喚起に向けたワーケーション促進税制(仮称)の創設を要望。個人が確定申告により、ワーケーションに係る費用のうち一定額を超える部分を所得税の課税所得から控除、もしくは、企業がワーケーションに係る経費を負担した場合、その一定割合について法人税の税額控除を行うといった「ワーケーション促進税制(仮称)」を創設し、企業によるワーケーションの取組みを大いに進めるべきだとした。

そのほか、中小企業等の事業継続・雇用維持のため、土地に係る固定資産税の据置き措置の継続、コロナ禍の影響を受けた事業者に対する固定資産税・事業所税等の減免、欠損金の繰越控除の対象期間の無期限化、欠損金の繰戻し還付の対象期間(10年間)の拡充、地方税における繰戻し還付制度の創設などを要望。なお、消費税については、インボイス制度の導入は当分の間凍結、軽減税率制度は将来的にはゼロベースで見直すべきとしている。

2022年度税制改正に関する意見は↓
https://www.jcci.or.jp/r4zeiseikaisei_ikenhonbun.pdf