2021-10-21
住宅の取得等にあたって借り入れた住宅ローン等を金利の低い住宅ローン等に借り換えることは少なくないが、引続き住宅ローン控除の適用を受けることができるのだろうか。結論から言えば、原則は、借換えによる新しい住宅ローン等は住宅ローン控除の対象にはならない。それは、住宅借入金等特別控除の対象となる住宅ローン等は、住宅の新築、取得又は増改築等のために直接必要な借入金又は債務でなければならないからだ。
したがって、住宅ローン等の借換えによる新しい住宅ローン等は、従前の住宅ローンを消滅させるための新たな借入金であり、原則として住宅借入金等特別控除の対象とはならないという考え方である。しかし、一定の要件を全て満たす場合は、借換え後の借入金についても引き続き住宅ローン控除を受けることができることとされている。一定の要件とは下記の(1)、(2)の全ての要件を満たす場合だ。
それは、(1)新しい住宅ローン等が当初の住宅ローン等の返済のためのものであることが明らかであること。(2)新しい住宅ローン等が10年以上の償還期間であることなど住宅借入金等特別控除の対象となる要件に当てはまること。この取扱いは、例えば、住宅の取得等の際に償還期間が10年未満の借入金(いわゆるつなぎ融資)を受け、その後に償還期間が10年以上となる住宅ローン等に借り換えた場合も同じ扱いとなる。
借換え後の控除対象となる住宅ローンの年末残高の金額は、新しい住宅ローンの借入金額と比べて、借換え直前の残高のほうが多い又は等しいときは「借換えた新しい住宅ローンの年末残高」が住宅ローン控除の対象となる。一方で、借換え直前の残高よりも新しい住宅ローンの借入金額のほうが多い場合は、「借換えた新しい住宅ローンの年末残高×借換え直前の借入残高/借換えた新しい住宅ローンの借入金額」で求めた金額が対象となる。
借換え後の住宅ローン控除の手続きは、給与所得者の場合、年末調整で対応することになる。新しい借入先から発行される「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」を勤務先に提出して年末調整を受けるが、年末調整までに書類が間に合わない場合は、確定申告が必要になる。なお、住宅ローン控除を受けられる年数は、居住の用に供した年から一定期間であり、住宅ローン等の借換えによって延長されることはないので注意が必要だ。