会計検査院、税金の徴収漏れ約1億5千万円を指摘

会計検査院が5日に公表した2020年度決算検査報告によると、各省庁や政府関係機関などの税金のムダ遣いや不正支出、経理処理の不適切などを指摘したのは210件、約2108億7231万円(187件分)だった。前年度に比べ、指摘件数は38件減少して1994年以降では最少となった。新型コロナ感染拡大に伴い、検査官による実地検査が大幅な縮小を余儀なくされたことが要因。ただ、指摘金額では前年度の約297億円を大幅に上回った。

財務省に対しては、法令違反に当たる不当事項として、税金の徴収額の不足約1億5千万円が指摘された。検査の結果、42税務署において、納税者52人から税金を徴収するに当たり、徴収不足が52事項、1億5492万円だった。前年度は、49署において徴収不足が85事項、1億7163万円だったので、徴収不足は約10%減少したことになる。徴収過大はなかった(2019年度は1事項、668万円)。

徴収が不足だった52事項を税目別にみると、「法人税」が21事項で徴収不足が5085万円と最も多く、以下、「消費税」14事項、同4636万円、「申告所得税」14事項、同4381万円、「相続・贈与税」3事項、同1389万円だった。これらの徴収不足額については、会計検査院の指摘後、全て徴収決定の処置がとられている。ちなみに、2020年度に国が決定した各税の総額は82兆4540億円だった。

法人税では、徴収不足21事項のうち、交際費等の損金不算入に関する事態が8事項、受取配当等の益金不算入に関するものが6事項及びその他に関するものが7事項だった。例えば、A信用金庫は、受取配当等の益金不算入の対象とならない証券投資信託の収益の分配金を益金不算入の対象としていて、3事業年度分の所得の金額が過小となっているのに、これを見過ごしたため、法人税額970万円が徴収不足になっていた。

なお、2020年度の指摘金額が前年度の約297億円から約2108億円へと大幅に増加した要因には、使う見込みのない記念貨幣用の金地金保有(財務省)での約1600億円や、空港事務所の非常用電源が耐震性不十分(国土交通省)での約8億6000万円などがある。また、新型コロナウイルス対策を巡る検査では、約22兆円が未執行になっており、政府が調達した布製マスク(アベノマスク)が大量保管されるなどしていた実態も明らかになっている。

財務省に対する不当事項(租税の徴収額に不足)は↓
https://www.jbaudit.go.jp/report/new/summary02/pdf/fy02_futo_06.pdf