2017-02-09
タックスヘイブン対策税制(外国子会社合算税制)の抜本的な見直しが、2017年度税制改正において行われる。「外国子会社の経済実体に即して課税すべき」とするBEPS(税源浸食と利益移転)プロジェクトの基本的考え方を踏まえ、経済実体がない、いわゆる受動的所得は合算対象とする一方で、実体のある事業からの所得については子会社の租税負担率にかかわらず合算対象から外れることとなる。
今回の改正で見直されるのはまず、合算課税の対象とされる外国法人の判定方法である。現行法では、租税負担割合が20%以上である外国関係会社は合算課税の対象から除外されている、いわゆる「トリガー税率(低税率判定基準)」が廃止され、外国関係会社を判定する際の持分割合の計算方法が見直される。資本関係はなくても実質的に支配している会社も対象となる。
トリガー税率の廃止により、現行法により指摘されていた問題、租税負担割合が20%以上であれば経済実態を伴わない所得であっても、自動的に合算課税の対象から除外されるというアンダーインクルージョン問題が解消されることになる。ただし、企業の事務負担に配慮し、租税負担割合が20%以上である外国関係会社については、「経済活動基準」による判定は免除される。
今回の見直しの結果、租税負担割合が20%以上である外国関係会社が合算課税の対象となるのは、ペーパーカンパニー、キャッシュボックス又はブラックリストカンパニーに該当する場合に限られることになる。ただし、ペーパーカンパニー等については租税負担割合が30%未満で適用対象とされる足切基準がある。ともあれ、タックスヘイブン対策税制の対象となる外国子会社は増加するものとみられている。
そのほか、適用除外基準(改正案では「経済活動基準」)が見直され、事業基準、実体基準、管理支配基準、所在地国基準又は非関連者基準のいずれかを満たさない外国関係会社は合算課税の対象とされる。これまでは合算課税の対象とされてきた航空機リースを主たる事業とする外国関係会社は、非関連者基準が適用される。これらの改正は、外国関係会社の2018年4月1日以後に開始する事業年度から適用される。