2021-12-13
自民・公明両党は10日、2022年度の与党税制改正大綱を決定し公表した。来年度の税制改正は、「成長と分配の好循環の実現」、「経済社会の構造変化を踏まえた税制の見直し」等の観点からとりまとめ、賃上げを積極的に行う企業を対象にした賃上げ促進税制(所得拡大促進税制)の拡充などを盛り込んだ。個人所得課税についても住宅ローン減税を延長した。評価額の見直しの年となる固定資産税については、商業地のみを軽減する。
賃上げ促進税制について、中小企業における所得拡大促進税制は、青色申告書を提出している中小企業者等が、一定の要件を満たした上で、前年度より給与等の支給額を増加させた場合、その増加額の一部を法人税(個人事業主は所得税)から税額控除できる制度。雇用者全体の給与総額の増額分を法人税額から差し引く控除率が、大企業で最大30%(現行20%)、中小企業で最大40%(同25%)に引き上げられる。
個人所得課税では、住宅ローン減税について、2025年12月末まで4年間特例を延長するが、ローン残高の1%を所得税等から差し引く控除率を0.7%に縮小する。控除率を引き下げたのは、低金利が続くなかで住宅購入者の減税額がローンの支払利息額を上回る“逆ざや”が生じているとの会計検査院の指摘を是正する狙いがある。新築の減税期間は原則10年間を13年間に延ばすが、所得要件は2000万円以下(現行3000万円以下)に引き下げる。
また、固定資産税等については、景気回復に万全を期すため、土地に係る固定資産税の負担調整措置について、2022年度限りの措置として、商業地等(負担水準が60%未満の土地に限る)の2022年度の課税標準額を、2021年度の課税標準額に2022年度の評価額の2.5%(現行5%)を加算した額(ただし、その額が、評価額の60%を上回る場合には60%相当額とし、評価額の20%を下回る場合には20%相当額とする)とする。
そのほか、岸田文雄首相が意欲を示していた金融所得課税の強化については、「高所得者層において、所得に占める金融所得等の割合が高いことから、所得税負担率が低下する状況がみられる」として、課税のあり方を検討する必要性を明記。金融所得課税の税率は現在一律20%のため、年間の所得が1億円を超えると所得税負担率が低下する“1億円の壁”と呼ぶ問題の解消を目指す。ただ、具体的な議論は2023年度税制改正に先送りされた。
2022年度税制改正大綱は↓
https://jimin.jp-east-2.storage.api.nifcloud.com/pdf/news/policy/202382_1.pdf