2021-12-15
事業を行っているにもかかわらず申告をしていない法人を放置しておくことは、納税者の公平感を著しく損なうものであることから、国税庁では、こうした稼働無申告法人に対する調査に重点的に取り組んでいる。今年6月までの1年間(2020事務年度)においては、事業を行っていると見込まれる無申告法人1416件(前年対比▲27.8%)に対し実地調査を実施し、法人税51億4300万円(同▲19.3%)を追徴課税した。
また、消費税については1178件(前年対比▲21.7%)を実地調査した結果、消費税110億3800万円(同109.2%増)を追徴課税。法人税と合わせると161億8100万円(同38.9%増)を追徴課税している。このうち、稼働している実態を隠し、意図的に無申告であった法人税278件(同▲32.9%)及び消費税229件(同▲21.8%)の法人に対し、法人税33億700万円(同▲20.2%)、消費税61億5100万円(同226.2%増)を追徴課税した。
稼働無申告事案では、稼働無申告であることを把握し、調査した結果、借名取引により利益を隠匿し意図的に無申告だった事案が報告されている。日用雑貨品等の販売を営む法人Aは、活況を呈しているにもかかわらず、無申告だったことから、資料情報等の分析・検討が行われ調査に着手。その結果、法人Aは、多額の利益が生じており申告が必要であることを十分認識していたにもかかわらず、無申告だったことが判明。
申告を行わなかっただけでなく、利益を隠すため、取引先に依頼し別法人名での取引を行うとともに、別法人名預金口座を使用している事実が明らかになった。法人Aに対しては、法人税5年分の申告漏れ所得金額4億3800万円について追徴税額1億3400万円(加算税込み、重加算税あり)、及び消費税5年分について、追徴税額7000万円(加算税込み、重加算税あり)がそれぞれ課されている。