2021-12-16
2022年度の与党税制改正大綱が公表されたが、個人所得課税では、住宅ローン減税が見直され、所得税額の特別控除につい適用期限(2021年12月31日)を2025年12月末まで4年間延長する。その際、2020年10月からの消費税率10%への引上げに伴う反動減対策としての借入限度額の上乗せ措置は終了し、住宅性能などに応じた上乗せ措置を講ずる。また、ローン残高の1%を所得税等から差し引く控除率を一律0.7%に縮小する。
控除率を引き下げるのは、低金利が続くなかで住宅購入者の減税額がローンの支払利息額を上回る“逆ざや”が生じ、「ローンを借りたほうが得」との状態になっているとの会計検査院の指摘を是正する狙いがある。控除率を住宅借入金残高の0.7%に引き下げ、控除期間は13年を原則とする。新築の減税期間も原則10年間を13年間に延ばす。住宅ローン控除の適用対象者の所得要件は2000万円以下(現行3000万円以下)に引き下げる。
具体的にみると、住宅の取得等をして2022年から2023年の間に入居した場合、借入限度額は、認定住宅(認定長期優良住宅及び認定低炭素住宅)が5000万円、ZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)水準省エネ住宅が4500万円、省エネ基準適合住宅が4000万円。2024年から2025年に入居の場合は、2022年から2023年入居より限度額を1000万円(認定住宅は500万円)下げる。中古の場合は一律3000万円で控除期間も10年となる。
上記の認定住宅等以外の住宅については、2022年から2023年の間に入居した場合の借入限度額は3000万円。2024年から2025年に入居の場合は2000万円で控除期間も10年間となる。この金額は、取得した家屋が新築や建築後未使用、宅地建物取引業者による一定の増改築等が行われた家屋の場合であり、それ以外の中古や住宅の増改築等の場合は、借入限度額が一律2000万円、控除期間は一律10年となる。
また、住宅ローン控除の適用対象となる既存住宅用家屋の要件については、築年数要件(現行:その取得の日以前20年以内(耐火建築物の場合は25年以内)に建築されたもの)を廃止するとともに、新耐震基準に適合している住宅用家屋(登記簿上の京築日付が1982年(昭和57年)1月1日以降の家屋については、新耐震基準に適合している住宅用家屋とみなす)であることを加える。
床面積要件については、昨年同様、合計所得金額1000万円以下の者に限り、40平方メートル以上50平方メートル未満の緩和要件は延長するが、2023年12月末までに建築確認を受けた新築住宅に適用を限定する。また、所得税額から控除しきれない額がある場合は、所得税の課税総所得金額の5%(最高9.75万円)の範囲内で個人住民税から控除する。この措置による個人住民税の減収額は、全額国費で補填するとされている。