2020年分相続税の課税割合は15年以降最高の8.8%

国税庁がこのほど公表した2020年分相続税の申告状況によると、2020年中(2020年1月1日~12月31日)に亡くなった人(被相続人)は、過去最高だった2019年(138万1093人)を▲0.6%とやや下回る137万2755人だった。このうち相続税の課税対象被相続人数は、同4.4%増の12万372人で、課税割合は8.8%(2019年分8.3%)だった。今回の対象は、2021年11月1日までに提出された相続税額のある申告書に基づき集計している。

課税割合8.8%は、前年より0.5ポイント増加し、2015年の相続税の基礎控除引下げ以降では最も高く、6年連続8%台の割合となり、相続で税金がかかるのは100人に8人という状況が続いている。また、相続財産価額から被相続人の債務や葬儀費用などを差し引き、相続開始前3年以内の生前贈与等を加算した相続税の課税価格は、16兆3937億円で前年比3.9%増加し、税額は2兆915億円で同5.9%増加した。

被相続人1人当たりでみると、課税価格が前年比▲0.5%の1億3619万円(相続税額のない申告書に係る価格は5102万円)と微減となったが、税額は1737万円で同1.4%増加した。また、相続財産額の構成比は、「土地」が34.7%と3割強を占め、「現金・預貯金等」が33.9%、「有価証券」が14.8%、退職金や生命保険などが含まれている「その他」が11.3%、「家屋」が5.3%の順となっている。

前年と比べ「土地」は0.3ポイント増とほぼ横ばい、「現金・預貯金等」も0.2ポイント増の横ばいだが、過去10年では最高の構成比となった。「現金・預貯金等」の構成比は、9年前の2011年分の24.4%(2兆8531億円)から2020年分は33.9%(5兆8989億円)と、9.5ポイント上昇。また、「有価証券」も2011年分の13.0%(1兆5209億円)から2020年分は14.8%(2兆5811億円)と1.8ポイント上昇している。

一方で「土地」は、2011年分の45.9%(5兆3781億円)から2020年分は34.7%(6兆389億円)と▲11.2ポイントも下落している。2020年分の路線価は5年連続で上昇していたが、「土地」の構成比は下落を続けている。つまり、相続財産に占める割合が高い土地の評価は、相続財産の課税価格が基礎控除額(「3000万円+600万円×法定相続人の数」)内でおさまるケースが多いことになる。

2020年分相続税の申告事績の概要は↓
https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2021/sozoku_shinkoku/pdf/sozoku_shinkoku.pdf