2022-01-05
所有者不明土地関連法の施行期日が昨年12月14日に閣議決定され、相続登記の申請義務化は2024年4月1日から、長期間経過後の遺産分割のルール見直しは2023年4月1日から、相続土地国庫帰属制度は2023年4月27日から、それぞれ施行されることになった。関連法である民法等一部改正法と相続土地国庫帰属法の施行期日を定める政令は昨年12月17日に公布されている。
これまで相続登記の申請は任意だったが、義務化によって、相続で不動産を取得した相続人は、その所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければならなくなる。正当な理由がないのに義務違反した場合、10万円以下の過料の適用対象となる。遺産分割のルールは、法定相続分をベースに、生前贈与を受けたことなど個別事情を考慮した具体的な相続分を算定するのが一般的だ。
しかし、遺産分割がされずに長期間経過した場合、具体的な相続分に関する証拠がなくなってしまい遺産分割が難しくなる。長期間経過後の遺産分割のルール見直しは、被相続人の死亡から10年を経過した後にする遺産分割は、原則として具体的相続分を考慮せず、法定相続分又は指定相続分によって画一的に行うとするもの。ルール見直しは、改正法の施行日前に開始した相続についても適用されるが、施行時から5年間の猶予期間が設けられる。
また、相続等によって望まない土地の所有権を取得した相続人が、法務大臣の承認を受けて土地を手放して国庫に帰属させることを可能とする制度が、相続土地国庫帰属制度。承認後、10年分の土地管理費相当額の負担金を納付することによって国庫帰属される。ただし、危険な崖がある、境界が明らかでない、担保権等が設定されているなど一定の土地に該当した場合は制度の適用対象外となる。
所有者不明土地の増加が社会問題化していることから、その発生予防と利用円滑化の両面から民事基本法制を見直し、昨年4月に成立したのが民法等一部改正法と相続土地国庫帰属法である。民法等一部改正法では、不動産登記制度を見直すとともに、長期間経過後の遺産分割のルールや共有制度など、土地利用に関連する民法の規律の見直しが規定されている。