電子帳簿保存、2023年末まで書面での保存も認める

本年1月から改正電子帳簿保存法が施行され、同月以降は検索要件等の保存要件を満たした上で電子取引の取引情報に係る電子データによる保存が義務付けられたが、その宥恕措置を導入する電子帳簿保存法施行規則の一部改正省令が昨年12月27日に公布(2022年1月1日施行)され、2年延期される。電子データ保存義務に対応できず、青色申告の承認取消しなどといった懸念は当面解消され、2年間はこれまで通り書面保存も認められる。

具体的には、電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存制度について、2022年1月1日から2023年12月31日までの間に申告所得税及び法人税に係る保存義務者が行う電子取引について、保存要件に従って保存ができなかったやむを得ない事情があると認められるなどの場合には、その保存要件にかかわらず、電子データの保存が可能になり、その電子データの保存に代えて電子データの出力で作成した書面による保存も認められる。

書面での保存が認められる要件には、「やむを得ない事情」に加えて、保存義務者が税務調査等の際に、質問検査権に基づく税務職員からの求めに応じ、その電子データを整然とした形式及び明瞭な状態で出力した書面の提示又は提出をすることができる場合がある。「やむを得ない事情」については、その時点までに要件に従って電子データの保存を行うための準備を整えることが困難な事情等が該当するとされている。

また、出力書面等の保存に当たり、電子データの保存要件への対応が困難な事業者の実情に配意し、これまでと同様に、引き続き保存義務者から納税地等の所轄税務署長への手続きを要せずその出力書面等による保存を可能とするよう、運用上、適切に配慮することとされる。つまり、やむを得ない事情の有無や出力した書面については、必要に応じて税務調査等の際に確認することとされており、事前に税務署への申請等は必要ないわけだ。

以上のように、電子取引の取引情報に係る電子データによる保存義務は2年間猶予されるが、2024年1月以後に行う電子取引の取引情報については保存要件に従った電子データの保存が義務付けられることになる。企業は2年間の猶予期間にその準備が必要になってくる。前年の2023年10月には消費税のインボイス制度も開始されることから、企業のデジタル化が否応なく迫られることになる。