2020事務年度に海外の金融口座情報約191万件を入手

経済のグローバル化に伴い、企業や個人の海外取引や海外資産の保有・運用形態が複雑・多様化するなか、国税庁では、CRS(共通報告基準)に基づく非居住者金融口座情報(CRS情報)やCbCR(国別報告事項)の自動的情報交換、租税条約等の規定に基づく外国税務当局との情報交換を積極的に実施している。わが国の情報交換ネットワークも、2022年1月1日現在で82条約等(149ヵ国・地域に適用)まで拡大している。

国税庁が公表した昨年6月までの1年間(2020事務年度)における租税条約等に基づく情報交換事績の概要によると、我が国にとって3回目となるCRS情報の自動的情報交換において、日本の非居住者に係る金融口座情報約65万件を70ヵ国・地域に提供した一方、日本の居住者に係る金融口座情報約191万件を87ヵ国・地域から受領している。これらの情報は、富裕層による海外資産隠しなどの税務調査に生かす。

また、国税庁から898社分のCbCRを57ヵ国・地域に提供した一方、外国税務当局から2186社分のCbCRを53ヵ国・地域から受領した。CbCRの自動的情報交換は、OECD のBEPS(税源浸食と利益移転)プロジェクトの勧告(行動13「多国籍企業情報の文書化」)に基づくもの。受領したCbCRは、移転価格リスク評価その他のBEPS に関連するリスク評価及び統計に使用することとしている。

そのほか、2020事務年度に国税庁から外国税務当局に発した「要請に基づく情報交換」の要請件数は638件(前事務年度613件)。他方、外国税務当局から国税庁に寄せられた要請件数は251件(同233件)となった。また、「自発的情報交換」については、2020事務年度に国税庁から外国税務当局に提供した件数は106件(同106件)。他方、外国税務当局から国税庁に提供されたのは2万351件(同394件)と大幅に増加している。

なお、わが国にとって4回目となる2021事務年度のCRS情報の自動的情報交換では、2021年12月31日までに、日本の居住者に係る金融口座情報約247万件(速報値)を92ヵ国・地域の外国税務当局から受領した一方、日本の非居住者に係る金融口座情報約67万件を国税庁から77ヵ国・地域に提供している。「アジア・太平洋州」が17ヵ国・地域から受領口座数約134万件、12ヵ国・地域から提供口座数約54万件と最も多い。

この件については↓
https://www.nta.go.jp/information/release/pdf/0022001-056.pdf