2022-02-21
財務省は2月17日、国民負担率が、2022年度予算では21年度実績見込みから1.5ポイント減の46.5%と7年ぶりに低下する見通しと発表した。国民負担率とは、国民所得に対する税金や社会保険料(年金・医療費などの保険料)の負担割合。22年度見通しの内訳は、国税17.3%、地方税10.5%で租税負担率が27.8%、社会保障負担率は18.7%。国民所得の伸びが大きく、社会保障負担などの増加を上回る見通しで、国民負担率を引き下げた。
2021年度実績見込みに比べ、租税負担率は0.9ポイント減(国税:0.6ポイント減、地方税:0.3ポイント減)と2年ぶりに低下、社会保障負担率も0.6ポイント減と3年連続で低下した。国民負担率を諸外国(2019年実績)と比べた場合、日本(2019年度44.4%)は、米国(32.4%)よりは高いが、フランス(67.1%)、スウェーデン(56.4%)、ドイツ(54.9%)、英国(46.5%)よりは低い。
真の負担率は、財政赤字という形で将来世代へ先送りしている負担額を加える必要がある。財務省によると、2022年度の国民所得(21年度に比べ20万3千円増の403万8千円の見通し)に対する財政赤字の割合は、前年度から2.4ポイント減の10.3%となる見通し。この結果、22年度の国民負担率に財政赤字を加えた「潜在的な国民負担率」は、21年度実績見込みからは3.8ポイント減の56.9%だが、過去3番目に高い見通し。
なお、租税負担率は、戦後は40年代半ばの混乱期を除いて20%前後で推移。しかし80年台前半以降、次第に上昇し始めその後はほぼ20%台前半から半ばで推移、21年度実績見込みでは過去最高の28.7%を記録、22年度は過去3番目に高い。OECD加盟38ヵ国との19年実績での比較では、比較可能な36ヵ国中、日本(25.8%)はメキシコ(19.2%)、コスタリカ(19.4%)などに次ぐ7番目に低い水準。最高はルクセンブルグの65.3%。
また、2022年度見通しの国民負担率44.3%は、調査開始以来、過去最高となる21年度実績見込みの48.0%を1.5ポイント下回るが、10年連続で40%台の高水準の数字となる見込みだ。OECD加盟38ヵ国と19年実績で比較した場合、日本(44.4%)は、比較可能な36ヵ国のなかで下から12番目に低い。ちなみに、最高はルクセンブルグの93.4%、最低はメキシコの21.7%(租税負担率も最低の19.2%)だった。
「国民負担率(対国民所得比)の推移」は↓
https://www.mof.go.jp/policy/budget/topics/futanritsu/sy202202a.pdf