2022-03-02
わが国の所得税は、納税者が自ら税法に従って所得金額と税額を正しく計算し納税する申告納税制度を採っている。1年間に生じた所得金額を正しく計算し申告するには、収入金額や必要経費に関する日々の取引状況を記帳し、取引に伴い作成・受領した書類の保存が必要だ。青色申告者については、一定要件を備えた帳簿書類の備え付け・記録・保存が定められているが、白色申告者に対しても、記帳制度や記録保存制度が設けられている。
また、確定申告書を提出する場合には、総収入金額や必要経費の内容を記載した書類(収支内訳書など)の添付が必要になる。2022年以後の所得税において、業務に係る雑所得を有する場合で、その年の前々年分の業務に係る雑所得の収入金額が1000万円を超える人が確定申告書を提出する場合についても、総収入金額や必要経費の内容を記載した書類(収支内訳書など)の添付が必要になる。
記帳制度については、記帳する必要のあるのは不動産所得、事業所得又は山林所得のある人。記帳する事項は、売上などの総収入金額と仕入れその他必要経費に関する事項。記帳に当たっては、一つ一つの取引ごとではなく、日々の合計金額のみをまとめて記載するなど、簡易な方法で記載してもよいことになっている。記帳は、所得金額が正確に計算できるように、整然とかつ明瞭にする必要がある。
記録保存制度については、帳簿などの保存が必要なのは不動産所得、事業所得又は山林所得のある人。帳簿や書類は5年間(記帳制度適用者が記帳制度に基づいて作成した帳簿については7年間)、納税者の住宅地や事業所などの所在地に整理して保存する必要がある。一定の要件の下、電子計算機を使用して作成する帳簿及び書類に係る電磁的記録をもって、帳簿書類などの保存に代えることができることとされている。
なお、2022年分以後の所得税において、業務に係る雑所得を有する場合で、その年の前々年分の業務に係る雑所得の収入金額が300万円を超える人は、現金預金取引等関係書類を保存しなければならないこととされている。現金預金取引等関係書類とは、居住者等が上記の業務に関して作成し、又は受領した請求書、領収書その他これらに類する書類のうち、現金の収受・払出し、預貯金の預入・引出しに際して作成されたものをいう。