研究開発税制の1つ「特別試験研究費税額控除制度」

「特別試験研究費の額に係る税額控除制度」は、各事業年度において、特別試験研究費の額(「一般試験研究費の額に係る税額控除制度」、「中小企業技術基盤強化税制」の適用を受けた特別試験研究費の額を除く)がある場合に、その額の一定割合をその事業年度の法人税額から控除することを認めるもの。1993年度税制改正で創設されて以来、オープンイノベーションの促進に資する施策の一つとして、重要なものとして位置づけられている。

この制度の対象となる特別試験研究費の額とは、試験研究費の額のうち国の試験研究機関、大学その他の者と共同して行う試験研究、国の試験研究機関、大学その他の者に委託する試験研究、中小企業者からその有する知的財産権の設定または許諾を受けて行う試験研究、その用途に係る対象者が少数である医薬品に関する試験研究などに係る試験研究費の額をいう。

同制度は、法人のその事業年度の調整前法人税額から、以下の(1)から(3)までに掲げる金額の合計額(「特別研究税額控除限度額」)を控除する。(1)特別試験研究費の額のうち国の試験研究機関、大学その他これらに準ずる者(「特別試験研究機関等)との共同研究または特別試験研究機関等への委託研究に係る一定の試験研究費の額の30パーセントに相当する金額、(2)一定の試験研究費の額の25パーセントに相当する金額。

(3)特別試験研究費の額のうち上記(1)及び(2)の一定の試験研究費の額以外の金額の20パーセントに相当する金額。この場合において、特別研究税額控除限度額が、法人のその事業年度の調整前法人税額の10パーセントに相当する金額を超えるときは、その控除を受ける金額(税額控除上限額)は、その10パーセントに相当する金額が限度となる。算式で表すと「税額控除上限額=調整前法人税額×10%」となる。

また、上記(2)の「一定の試験研究費の額」とは、ア.特別試験研究費の額のうち研究開発型ベンチャー企業との共同研究または研究開発型ベンチャー企業への委託研究に係る一定の試験研究費の額、イ.特別試験研究費の額のうち国立大学、大学共同利用機関、公立大学および国立研究開発法人の外部化法人との共同研究またはこれらの法人の外部化法人への委託研究に係る一定の試験研究費の額、である。

ア.の「研究開発型ベンチャー企業」とは、産業競争力強化法に規定する新事業開拓事業者のうちその発行する株式の全部または一部が同法に規定する認定特定新事業開拓投資事業組合の組合財産であるものその他これに準ずるものをいう。また、2021年4月1日前に支出した試験研究費の額については、上記イ.の金額は上記(2)の一定の試験研究費の額には含まれない。