2022-05-11
法人が、所有する土地や建物等の固定資産を他の者が所有する固定資産と交換した場合には、時価で譲渡及び取得をしたものとして所得計算することになるので、交換により譲渡する資産の帳簿価額よりも時価が高いときは、その差額を譲渡益として計上することになる。この場合に、その交換が一定の要件を満たすときは、圧縮限度額の範囲内で交換により取得した資産の帳簿価額を減額し、損金算入する圧縮記帳の適用を受けることができる。
交換により取得した資産の圧縮記帳の適用を受けるには、一定条件を満たすことが必要であり、その一つに、交換する資産は互いに同じ種類の固定資産でなければならないことがある。同じ種類の固定資産の交換とは、土地と土地、建物と建物などの交換だが、建物所有目的の地上権や賃借権である借地権は土地に含まれる。また、建物とともに交換する建物に附属する設備や構築物は建物と一体となって交換される場合に限りその建物に含まれる。
例えば、建物の敷地として貸している土地いわゆる底地の一部と、その土地を借りている法人の借地権の一部との交換は、土地と土地との交換に当たることになるので、譲渡資産も取得資産も、いずれもそれぞれの所有者が1年以上所有していたものであることや、取得資産は、相手方が交換するために取得したものでないことなどの他の条件を満たす場合には、この交換をした底地と借地権については、圧縮記帳の適用を受けることができる。
したがって、土地及び建物と土地を交換した場合には、総額が等価であっても、建物部分については圧縮記帳の適用を受けることはできず、建物等の価額は交換差金等の対象額となる。つまり、この場合、交換により建物を取得した法人は、建物の価額(時価)相当額の交換差金等を受けたことになる。また、交換により建物を譲渡した法人は、建物の価額(時価)相当額の交換差金等を交付したことになる。
なお、交換した時のおける取得資産の価額(時価)と譲渡資産の価額(時価)との差額が、これらの価額のうちいずれか多いほうの価額の20パーセント相当額を超える場合には、交換したいずれの資産についても圧縮記帳の適用が受けられないので要注意だ。また、圧縮記帳の適用を受けるには、原則、取得資産の帳簿価額を損金経理で減額し、確定申告書に減額した金額の損金算入についての明細(別表13(3))を記載して添付することが必要となる。