2022-05-18
商品販売をした事業者がその取引を行った後に、売上値引きをしたり、売上割戻金や販売奨励金を支払ったり、売り上げた商品について返品を受けたこと等により売掛金の減額等を行う場合には、商品を販売した事業者は、これらの金額に対応する消費税額について調整する必要がある。国内で行った課税資産の譲渡等に該当する取引に基因して支払われるもの(「売上げに係る対価の返還等」という)が調整の必要な取引となる。
調整が必要な取引には、(1)返品、(2)値引き、(3)事業者がその直接の取引先に支払う割戻しのほか、間接の取引先(商品等の卸売業者、製造業者等)に支払う飛越しリベート等とされるもの、(4)海上運送事業を営む事業者が支払う船舶の早出料、(5)販売奨励金等のうち、事業者が販売促進の目的で販売奨励金等の対象とされる課税資産の販売数量、販売高等に応じて取引先に対して金銭で支払うもの、などがある。
一方で、調整を行うことができない取引がある。上記の売上に係る対価の返還等であっても、(1)免税事業者であった課税期間における課税資産の譲渡等につき、課税事業者となった後の課税期間において行ったものや、(2)課税事業者であった課税期間における課税資産の譲渡等につき、事業を廃止し、または免税事業者となった後の課税期間において行ったもの、は調整を行うことができない。
調整を行う時期は、当初の課税資産の譲渡等を行った課税期間でなく、売上に係る対価の返還等を行った課税期間において調整を行う。調整の方法は、課税標準額に対する消費税額から売上に係る対価の返還等に係る消費税額を控除する。ただし、課税資産の譲渡等の金額からその売上に係る対価の返還等の金額を控除する経理処理を継続して行っているときは、この処理も認められる。
なお、売上に係る対価の返還等の金額に係る消費税額について控除を受けるためには、売上に係る対価の返還等をした金額の明細等を記録した帳簿を保存する必要がある。また、売上に係る対価の返還等の金額に係る消費税額は、税込みの売上に係る対価の返還等の金額に110分の7.8(軽減税率の適用対象となった売上げに係るものについては108分の6.24)を乗じて算出した金額となる。