税務上デメリットが大きい役員に対する経済的利益

法人が役員に支給する給与には、金銭によるもののほか、債務の免除による利益その他の経済的な利益も含まれる。この経済的な利益とは、例えば以下の(1)~(6)に掲げるもののように、法人の行為によって実質的にその役員に対して給与を支給したのと同様の経済的効果をもたらすものをいう。それは、(1)資産を贈与した場合におけるその資産の時価、(2)資産を時価より低額で譲渡した場合における時価と譲渡価額との差額。

(3)債権を放棄・免除した場合の債権の放棄額等、(4)無償・低額で居住用土地・家屋を提供した場合の通常取得すべき賃貸料の額と実際徴収した賃貸料の額との差額、(5)無利息または低率で金銭の貸付けをした場合の通常取得すべき利率で計算した利息の額と実際徴収した利息の額との差額、(6)役員を被保険者及び保険金受取人とする生命保険契約の保険料の額の全部または一部を負担した場合のその負担した保険料の負担額。

ただし、法人が役員に対し経済的な利益の供与をした場合に、それが所得税法上経済的な利益として課税されず、かつ、その法人がその役員に対する給与として経理しなかったものは、給与として扱われない。また、役員に対して継続的に供与される経済的利益のうち、その供与される利益の額が毎月おおむね一定のものは定期同額給与に該当し、損金の額に算入されるが、その他のものは定額同額給与に該当せず、損金の額に算入されない。

つまり、役員賞与となり、法人税法上の損金にならなくて、かつ、所得税法上の給与所得を構成するので、税務上、非常にデメリットが大きいことになる。ただし、法人が使用人兼務役員に対して供与した経済的な利益の額(住宅等の貸与をした場合の経済的な利益を除く)が他の使用人に対して供与される程度のものである場合には、その経済的な利益の額は使用人としての職務に係るものとされ、損金の額に算入される。

また、役員に対する経済的利益の額(使用人兼務役員に対する使用人部分を除く)が不相当に高額である場合や法人が事実を隠蔽しまたは仮装して経理することにより、その役員に対して供与した経済的な利益の額は損金の額に算入されないこととされている。