11年ぶりに増加に転じた2020年度分赤字法人割合

国税庁が5月27日に公表した「2020年度分会社標本調査」結果によると、同年度分の法人数は278万8737社(前年度比1.1%増)で、このうち連結親法人は1823社(同5.9%増)、連結子法人は1万3811社(同6.4%増)だった。連結子法人を差し引いた279万560社のうち利益計上法人(黒字法人)が105万782社(同▲0.3%)で微減ながら10年ぶりの減少、欠損法人(赤字法人)は173万9778社(同2.9%増)で2年ぶりの増加となった。

この結果、全法人に占める欠損法人の割合は62.3%となり、前年度まで過去最も欠損割合が高い72.8%となった2009年度分から下がり続けていた赤字法人割合は、11年ぶりに増加に転じた。2020年度調査では、新型コロナウイルス感染症の影響による企業の業績悪化等が反映されたことにより、黒字法人の所得金額は、2009年度分以来10年ぶりに減少に転じた前年度に引き続き2年連続で減少している。

全法人の営業収入金額は1350兆943億円(前年度比▲9.1%)で、このうち黒字法人の営業収入金額は981兆6949億円(同▲13.4%)と大幅に減少し、ともに2年連続で減少した。ただ、黒字法人の所得金額は63兆7868億円(同0.8%増)と、微増ながら増加に転じたが、過去最大だった2018年度分(69兆7456億円)に比べて5兆9588億円減少。また、法人税額は11兆1779億円(同▲0.3%)で2年連続の減少となった。

繰越欠損金の当期控除額は7兆245億円(前年度比9.9%増)で2年ぶりに増加、翌期繰越額は71兆2651億円(同16.9%増)で3年ぶりの増加。1事業年度当たり当期控除額は、全体では795万円で、業種別では、「金融保険業」(2847万円)、「化学工業」(2193万円)の順。1事業年度当たり翌期繰越額は、全体では4157万円で、業種別では、「鉱業」(1億5604万円)、「金融保険業」(1億2012万円)の順だった。

一方、“景気のバロメーター”と言われる交際費等の支出額は、2兆9605億円と前年度比▲24.9%の大幅減少で2年連続のマイナスとなった。また、このうち税法上損金不算入とされた金額は17.8%に当たる5268億円(同▲46.2%)だった。営業収入金額10万円当たりの交際費支出額は、全体では219円で、これを業種別にみると、最も多いのは「建設業」の629円、最も少ないのは「機械工業」の116円となっている。

2020年度分会社標本調査結果は↓
https://www.nta.go.jp/information/release/pdf/kaishahyohon2020.pdf