2017-03-17
現在、国会に上程中の都市緑地法等の一部を改正する法律案には、生産緑地法の一部改正案が含まれており、2017年度税制改正では、「生産緑地法の改正を前提に、面積要件の緩和された改正後の生産緑地地区内にある農地等については、農地等に係る相続税・贈与税の納税有制度の適用上、現行と同様の取扱いとする」とされた。地方税においても、固定資産税・都市計画税について同様の措置が手当てされる。
生産緑地法の改正案は、市街化区域内で一定の要件に該当する農地等に指定された「生産緑地地区内」にある農地等の面積要件を緩和するもの。具体的には、市町村は生産緑地地区の規模に関する条例を、政令で定める基準に従い、条例で別に定めることができるものとする。現行500平方メートル以上とする面積要件について、同法案が成立した場合に改正政令において、市区町村が条例により下限を300平方メートルにできる予定だ。
納税猶予制度では、三大都市圏の特定市においては生産緑地のみが終身営農を条件とするが、納税猶予の対象となる。固定資産税の宅地並み課税を免れて農地としての評価、課税が行われるのもこの生産緑地だ。今回の面積要件の引下げとともに、税金面で優遇されれば、三大都市圏を中心に、生産緑地が広がることが予測される。都市緑地法等の一部改正案の施行は、公布の日から起算して2月を超えない範囲内において政令で定める日とした。
また、所得税法等の一部改正案においては、農地等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度の要件等は特に見直されていないことから、都市緑地法等の一部改正案が国会で成立し、公布・施行されれば、市区町村の条例で生産緑地地区内の面積要件の緩和が実現することとなる。生産緑地地区の面積要件が引き下げられて、生産緑地の対象が広がっても、相続税等の納税猶予や固定資産税等の恩典を受けられることになるわけだ。