2022-06-01
不動産の売却益にかかる譲渡所得税の税率は、売却した不動産の所有期間の長い不動産を売ったときのほうが、低い税率で課税される仕組みだ。所有期間が5年以下の不動産を売却したときの譲渡所得は「短期譲渡所得」として税率は(復興特別所得税を考慮しないと)39%(所得税30%、住民税9%)。一方、所有期間が5年を超える不動産を売却したときは「長期譲渡所得」として税率は同20%(所得税15%、住民税5%)となる。
つまり、短期譲渡所得は、長期譲渡所得の約2倍の税金を納めなくてはならない。不動産を売却するとき、所有期間が5年を超えるかどうかが重要なポイントとなる。そこで、特に注意が必要なのは、税金を計算する際の所有期間は、譲渡(売却)した年の1月1日時点で判断すること。実際の所有期間とは違うのだ。長期譲渡所得と認定されるには、「譲渡した年の1月1日における所有期間が5年を超えている」必要がある。
譲渡した年の1月1日における所有期間が5年以下だと、短期譲渡所得となる。税務上の所有期間は、売った年の1月1日時点にさかのぼって判断する。売却した時点では所有期間が5年を超えていても、その年の「1月1日までさかのぼる」と5年に満たないことがあり得る。所有期間の判断を誤ると、「税金を想定していた2倍も支払わないといけなくなった」ということになりかねない。所有期間の判断と売却のタイミングが重要になる。
わずか1~2ヵ月の違いで、税金を半分にすることができる場合もある。不動産売却は、税金対策の面からも、売却のタイミングが大事だ。所有期間5年超の条件をクリアするには、取得した年に「6」を加えた年の1月1日より後に売却すること。そうすれば、税務上の所有期間5年超をクリアでき、長期譲渡所得の低い税率が適用できる。所有期間が5年になる不動産物件は、年内でなく、年明けに売ると税金が安くなる。
以上のように、不動産を売却したときの譲渡所得にかかる税金は、所有期間が長いほど税率が下がる仕組みだ。特に、マイホームの売却の場合は、所有期間が長いと軽減税率の特例も適用できる。軽減税率の特例は、売った年の1月1日現在で、そのマイホームの所有期間が10年を超えている場合は、3000万円の特別控除の特例を適用した後の課税長期譲渡所得金額に対して、軽減された税率で税額を計算することになる。