NISAを2023年度税制改正で抜本的拡充の方針

政府は、NISA(少額投資非課税制度)を抜本的に拡充する方針だ。6月7日に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針2022」(骨太の方針)と「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」に記載された。我が国の個人金融資産2000兆円のうち、その半分以上が預金・現金で保有されていることから、全世代的に個人金融資産の「貯蓄から投資」へのシフトを大胆・抜本的に進める。

投資による資産所得倍増を目指して、NISAの抜本的拡充や、高齢者に向けたiDeCo(個人型確定拠出年金)制度の改革、国民の預貯金を資産運用に誘導する新たな仕組みの創設など、政策を総動員し、貯蓄から投資へのシフトを大胆・抜本的に進める。これらを本年末に策定する「資産所得倍増プラン」に盛り込む。これを受けて年末に公表される与党の2023年度税制改正大綱に具体的な拡充内容が示されることになる。

個人投資家のための税制優遇制度NISAには、現在、 (1)株式・投資信託等の配当・譲渡益等を対象に非課税保有期間5年間・年間非課税枠120万円の「一般NISA」、(2)未成年者を対象に非課税保有期間5年間・年間非課税枠80万円の「ジュニアNISA」、(3)特に少額からの長期・積立・分散投資を支援する制度として一定の投資信託を対象に非課税保有期間20年間・年間非課税枠40万円の「つみたてNISA」の3種類の制度がある。

(1)は2014年1月に、(2)は2016年4月に、(3)は2018年1月に、それぞれスタートし、以後たびたび制度が見直されてきた。NISAが大きく見直されたのが2020年度税制改正で、2024年からはNISAを「つみたてNISA」と一般NISAを二階建てにし非課税枠を計122万円にした「新NISA」との年単位選択制にするとともに、利用実績が乏しかった「ジュニアNISA」を2023年末で終了することにした。