お笑い芸人への追徴課税で再注目される競馬配当金

競馬で大当たりしたお笑い芸人への高額追徴課税のニュースが取沙汰されるなか、競馬の配当金税務が改めて注目されている。お笑いトリオ・インスタントジョンソンのじゃいさんは2020年12月、競馬で6400万円の高額払戻しを受け、自身のYouTubeで報告。「競馬の配当による税金もしっかり納めさせていただいている」(本人)としていたが、後日税務調査が入り追徴課税されたという。

外れ馬券を必要経費に含めていたため高額追徴課税となった模様だが、競馬の払戻金は、一般的には一時所得扱い。「総収入金額-収入を得るために支出した金額」が年間50万円を超えていれば一時所得として確定申告が必要になる。ここでいう収入を得るために支出した金額」とは、その収入を生じた行為をするため直接要した金額。競馬の場合は「当たり馬券」のみということになる。

競馬の払戻金税務をめぐっては、一時所得と雑所得のいずれに該当するのか、外れ馬券の購入費用が必要経費にできるかが争われていた裁判で、最高裁判所が2017年、「本件の競馬の馬券の払戻金については、馬券購入の態様や利益発生の状況等から雑所得に該当し、外れ馬券の購入費用は必要経費に該当する」と判断し注目を集めた。これを受けて敗訴した国税庁は通達を整備した。

競馬の馬券の払戻金の所得区分について、「馬券を自動的に購入するソフトウエアを使用して定めた独自の条件設定と計算式に基づき、又は予想の確度の高低と予想が的中した際の配当率の大小の組合せにより定めた購入パターンに従って、偶然性の影響を減殺するために、年間を通じてほぼ全てのレースで馬券を購入するなど、年間を通じての収支で利益が得られるように工夫しながら多数の馬券を購入し続けた」ケースは雑所得となる。

年間を通じての収支で多額の利益を上げ、これらの事実により、回収率が馬券の当該購入行為の期間総体として100%を超えるように馬券を購入し続けてきたことが客観的に明らかな場合は雑所得に該当すると判断し、それ以外の場合は一時所得とするとした。今回のニュースでは、競馬の配当金税務が改めて取り沙汰される一方で、インターネット上の情報発信へ向けられる税務署の目にも注目が集まっている。