2024-05-13
土地や建物を交換したときの圧縮記帳
対象税目
法人税
概要
法人が、所有する土地や建物等の固定資産を他の者が所有する固定資産と交換した場合には、時価で譲渡および取得をしたものとして所得計算を行うことになりますので、交換により譲渡する資産(以下「譲渡資産」といいます。)の帳簿価額よりも時価が高いときは、その差額を譲渡益として計上することになります。
この場合において、その交換が一定の要件を満たすときは、圧縮限度額の範囲内で交換により取得した資産(以下「取得資産」といいます。)の帳簿価額を減額し、損金の額に算入する圧縮記帳の適用を受けることができます。
対象者または対象物
対象となる法人
所有する土地や建物等の固定資産を他の者が所有する固定資産と交換した法人
圧縮記帳の対象となる交換
この圧縮記帳の対象となる交換は、次のすべての条件に該当する交換です。
1 譲渡資産と取得資産が、土地、建物、機械および装置、船舶、鉱業権のいずれかに該当するものであり、かつ、土地と土地、建物と建物のように互いに同じ種類の資産であること。
なお、借地権は土地に含まれます。また、建物とともに交換する建物に附属する設備や構築物は建物と一体となって交換される場合に限りその建物に含まれます。
2 譲渡資産も取得資産もいずれも固定資産であること。
したがって、不動産業者などが販売目的で所有している土地、建物などの棚卸資産を交換した場合には、この圧縮記帳の対象となりません。
3 譲渡資産も取得資産も、いずれもそれぞれの所有者が1年以上所有していたものであること。
4 取得資産は、相手方が交換するために取得したものでないこと。
5 取得資産を譲渡資産の交換直前の用途と同じ用途に使用すること。
この用途は、土地については、宅地、田畑、鉱泉地、池沼、山林、牧場または原野、その他に区分され、また、建物については、居住用、店舗または事務所用、工場用、倉庫用、その他の用に区分されています。
6 交換した時における取得資産の価額(時価)と譲渡資産の価額(時価)との差額が、これらの価額のうちいずれか多い方の価額の20パーセント相当額を超えないこと。
計算方法・計算式
交換による圧縮限度額は、交換差金等の有無等により、次の算式によって計算します。
なお、「交換差金等」とは、交換の時における取得資産の価額(時価)と譲渡資産の価額(時価)とが同額でない場合にその差額を補うために授受される金銭等をいいます。
交換差金等がない場合
圧縮限度額=取得資産の価額-(譲渡資産の譲渡直前の帳簿価額+譲渡経費の額)
(注) 「譲渡経費の額」には、交換に当たって支出した譲渡資産についての仲介手数料、取りはずし費、荷役費、運送保険料など、その譲渡のために要した費用の額のほか、土地の上にある建物を取り壊してその土地を交換した場合の取壊費用やその取壊しに伴い借家人に支払った立退料などの額が含まれます。
交換差金等を受け取った場合
圧縮限度額=取得資産の価額-(譲渡資産の譲渡直前の帳簿価額+譲渡経費の額)×取得資産の価額/(取得資産の価額+交換差金等の額)
交換差金等を支払った場合
圧縮限度額=取得資産の価額-(譲渡資産の譲渡直前の帳簿価額+譲渡経費の額+交換差金等の額)
手続き
この圧縮記帳の適用を受けるためには、原則として取得資産の帳簿価額を損金経理により減額し、確定申告書に減額した金額の損金算入についての明細(別表13(3))を記載して添付することが必要です。
根拠法令等
法法50、法令92、法基通10-6-3、10-6-7、10-6-9
タックスアンサーNo.5600参照
[令和5年4月1日現在法令等]