2017-12-15
こんにちは、濵川です。
寒さが非常に厳しくなって参りました。
風邪等召さぬよう、お気を付けください。
さて前回は、競馬の儲けを一時所得とするか雑所得とするかで
所得金額に大きな差が出るところまでを確認しました。
今回は、「では、実際にどちらの所得となるのか?」ということについて
考えて行きましょう。
第1回目で、一時所得と雑所得の違いが「営利を目的とする継続的行為から
生じたものか否か」にあることを述べました。
この「営利を目的とする継続的行為」とは、どのあたりで線引きをすることになるのでしょうか。
年に数回馬券を買う程度のライトな競馬ファンであれば、その儲けが一時所得になる
であろうことは推察できます。
では、毎週競馬場に通う熱心なファンは?
年に数千万円をつぎ込む、もはや馬券購入がライフワーク化している様な競馬ファンは?
実はこれに関しては通達というものが出されております。
――以下、所得税基本通達34条より抜粋
馬券を自動的に購入するソフトウエアを使用して独自の条件設定と計算式に基づいて
インターネットを介して長期間にわたり多数回かつ頻繁に個々の馬券の的中に着目しない網羅的な購入をして当たり馬券の払戻金を得ることにより多額の利益を恒常的に上げ、
一連の馬券の購入が一体の経済活動の実態を有することが客観的に明らかである場合の
競馬の馬券の払戻金に係る所得は、営利を目的とする継続的行為から生じた所得として
雑所得に該当する。
――抜粋ここまで
いかがでしょうか。
要は、「原則として一時所得、ただし上記のような場合のみ雑所得」ということです。
競馬というものは結局のところ控除率20~30%のギャンブルであり、全参加者の勝ち分
より負け分の方が必ず大きくなるようになっています。
そうした中で「営利を目的とする継続的行為」というのは極めて困難であるので、
その儲けは原則として一時所得ということになってしまうのでしょう。
でも、ちょっと疑問が残ります。
世の中には、常人には真似できない直感と予測をもって次々と予想を的中させてしまう
天才的な馬券師がいます。
そんな人が毎年多額の利益を上げているにも係らず、ただ
「ソフトウエアを使っていないから」「インターネットを介していないから」という理由で
儲けを一時所得にされてしまうのは、いかがなものでしょうか。
ここでポイントになるのは、上記の「通達」というのは行政機関内部において
「こういう時はこう判断してね」と取り決めた定めであって、法律ではないことです。
つまり、司法の判断を拘束するものではないということです。
次回は、いよいよ実際の判例を見ていきましょう。
競馬好きな友人がいるため、年に1~2回競馬場へ行く濵川でした。
11月のジャパンカップに行きました。