2022-09-12
給与等の支給額が増加した場合の法人税額の特別控除(中小企業者等における賃上げ促進税制(旧:所得拡大促進税制))
対象税目
法人税
概要
中小企業者等が、平成30年4月1日から令和6年3月31日までの間に開始する各事業年度において国内雇用者に対して給与等を支給する場合において、その事業年度においてその中小企業者等の雇用者給与等支給額からその比較雇用者給与等支給額を控除した金額のその比較雇用者給与等支給額に対する割合が1.5パーセント以上であるときは、その事業年度の控除対象雇用者給与等支給増加額の15パーセント相当額の法人税額の特別控除ができることとされています。
なお、下記の「適用要件(令和4年4月1日以後に開始する事業年度)」の<上乗せ要件>を満たす場合には、控除対象雇用者給与等支給増加額の最大40パーセント相当額となります。
※本制度の認定手続などの詳細については、中小企業庁ホームページをご覧ください。
適用要件(令和4年4月1日以後に開始する事業年度)
次の1および2の要件を満たすこと。
1 国内雇用者(注1)に対して給与等を支給すること。
2 (雇用者給与等支給額(注2)-比較雇用者給与等支給額(注3))/比較雇用者給与等支給額≧1.5パーセント
※ 比較雇用者給与等支給額が0である場合には、要件を満たさないものとされます。
<上乗せ要件>
次の3または4の要件を満たすこと。
3 (雇用者給与等支給額-比較雇用者給与等支給額)/比較雇用者給与等支給額≧2.5パーセント
4 (教育訓練費の額(注4)-比較教育訓練費の額(注5)/比較教育訓練費の額≧10パーセント
(注1)国内雇用者とは、法人の使用人(その法人の役員と特殊の関係のある者等の一定の者を除きます。)のうちその法人の国内に所在する事業所につき作成された賃金台帳に記載された者をいいます。
(注2)雇用者給与等支給額とは、法人の適用年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される国内雇用者に対する給与等の支給額をいいます。ただし、その給与等に充てるため他の者から支払を受ける金額(国または地方公共団体から受ける雇用保険法第62条第1項第1号に掲げる事業として支給が行われる助成金その他これに類するものの額(以下「雇用安定助成金額」といいます。)を除きます。)がある場合には、その金額を控除します。
(注3)前事業年度における雇用者給与等支給額をいいます。
(注4)教育訓練費とは、法人がその国内雇用者の職務に必要な技術または知識を習得させ、または向上させるために支出する費用で以下のものをいいます。
1 法人がその国内雇用者に対して教育、訓練、研修、講習その他これらに類するもの(以下「教育訓練等」といいます。)を自ら行う場合の次の費用
(1) 教育訓練等のために講師または指導者(その法人の役員または使用人である者を除きます。以下「講師等」といいます。)に対して支払う報酬、料金、謝金その他これらに類するものおよび教育訓練等を行うために要する講師等の旅費のうちその法人が負担するものならびに教育訓練等に関する計画または内容の作成についてその教育訓練等に関する専門的知識を有する者(その法人の役員または使用人である者を除きます。)に委託している場合のその専門的知識を有する者に対して支払う委託費その他これに類するもの
(2) その教育訓練等のために施設、設備その他の資産を賃借する場合におけるその賃借に要する費用およびコンテンツ(文字、図形、色彩、音声、動作もしくは映像またはこれらを組み合わせたものをいいます。)の使用料(コンテンツの取得に要する費用に該当するものを除きます。)
2 法人から委託を受けた他の者がその法人の国内雇用者に対して教育訓練等を行う場合の、その教育訓練等のために当該他の者に対して支払う費用
3 法人がその国内雇用者を他の者が行う教育訓練等に参加させる場合の、当該他の者に対して支払う授業料、受講料、受験手数料その他の当該他の者が行う教育訓練等に対する対価として支払うもの
(注5)比較教育訓練費の額とは、法人の各事業年度開始の日前1年以内開始した各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される教育訓練費の額をいいます。
税額控除限度額(令和4年4月1日以後に開始する事業年度)
税額控除限度額は、次の算式により計算します。
税額控除限度額=控除対象雇用者給与等支給増加額(注1、注2)×15パーセント(注3)
(注1)控除対象雇用者給与等支給増加額とは、適用対象法人の適用事業年度の雇用者給与等支給額(※1)からその適用対象法人の比較雇用者給与等支給額(※1)を控除した金額をいいます。
ただし、その金額がその適用対象法人の適用事業年度の調整雇用者給与等支給増加額(次の1の金額から2の金額を差し引いた金額をいいます。)を超える場合には、その調整雇用者給与等支給増加額とされます。
1 雇用者給与等支給額(※2)
2 比較雇用者給与等支給額(※2)
(※1)雇用安定助成金額がある場合でも、雇用安定助成金額を控除しないで計算します。
(※2)雇用安定助成金額がある場合には、雇用安定助成金額を控除して計算します。
(注2)その事業年度において、「地方活力向上地域等において雇用者の数が増加した場合の法人税額の特別控除制度」(措法42の12)の適用を受ける場合には、控除対象雇用者給与等支給増加額から、その適用による税額控除額の計算の基礎となった者に対する給与等の支給額として計算した金額を控除して、税額控除限度額を計算することとされています。
(注3)上記の「適用要件(令和4年4月1日以後に開始する事業年度)」の<上乗せ要件>の要件3を満たす場合には、15パーセントが加算され、要件4を満たす場合には10パーセントが加算されます。なお、いずれも満たす場合には25パーセントが加算されます。
なお、この税額控除限度額が、その適用年度の調整前法人税額の20パーセント相当額を超える場合には、その控除を受ける金額は、その20パーセント相当額が限度となります。
対象者または対象物
適用対象法人は中小企業者または農業協同組合等で、青色申告書を提出するものです。
中小企業者とは、次の1および2に掲げる法人をいいます。ただし、中小企業者のうち適用除外事業者(その事業年度開始の日前3年以内に終了した各事業年度の所得金額の年平均額が15億円を超える法人をいいます。)または通算制度における適用除外事業者(注1)に該当するものは除かれます。
1 資本金の額または出資金の額が1億円以下の法人のうち次の(1)から(3)に掲げる法人以外の法人(受託法人を除きます。)
(1) その発行済株式または出資(自己の株式または出資を除きます。以下同じです。)の総数または総額の2分の1以上を同一の大規模法人(注2)に所有されている法人
(2) 上記(1)のほか、その発行済株式または出資の総数または総額の3分の2以上を複数の大規模法人(注2)に所有されている法人
(3) 他の通算法人のうちいずれかの法人が次のイまたはロに掲げる法人に該当せず、または受託法人に該当する場合における通算法人
イ 資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人のうち上記(1)および(2)に掲げる法人以外の法人
ロ 資本または出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人
2 資本または出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人(受託法人およびその法人が通算親法人である場合における上記1(3)に掲げる法人を除きます。)
(注1) 通算制度における適用除外事業者の詳細については、「グループ通算制度に関するQ&A」問83「通算制度における適用除外事業者の取扱いについて」 を参照してください。
(注2)大規模法人とは、次の1から4に掲げる法人をいい、中小企業投資育成株式会社を除きます。
1 資本金の額または出資金の額が1億円を超える法人
2 資本または出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人を超える法人
3 大法人(次の(1)から(3)に掲げる法人をいいます。以下同じです。)との間にその大法人による完全支配関係がある普通法人
(1)資本金の額または出資金の額が5億円以上の法人
(2)相互会社および外国相互会社のうち、常時使用する従業員の数が1,000人を超える法人
(3)受託法人
4 普通法人との間に完全支配関係があるすべての大法人が有する株式および出資の全部をそのすべての大法人のうちいずれか一の法人が有するものとみなした場合において、そのいずれか一の法人とその普通法人との間にそのいずれか一の法人による完全支配関係があることとなるときの普通法人(上記3に掲げる法人を除きます。)
対象期間
適用の対象となる期間(年度)
平成30年4月1日から令和6年3月31日までの間に開始する各事業年度において、適用できます。
ただし、コード5927「給与等の支給額が増加した場合の法人税額の特別控除(大企業向け賃上げ促進税制)」の適用を受ける事業年度、設立事業年度(設立の日を含む事業年度をいいます。)、合併以外の事由による解散の日を含む事業年度および清算中の各事業年度においては、適用できません。
手続き
申告に当たっての注意点については、次のとおりです。
1 対象となる期間内に新たに設立された法人の設立の日を含む事業年度については、この制度の適用を受けることができません。
2 確定申告書等(控除を受ける金額を増加させる修正申告書または更正請求書を提出する場合には、その修正申告書または更正請求書を含みます。)に控除の対象となる控除対象雇用者給与等支給増加額、控除を受ける金額およびその金額の計算に関する明細を記載した書類の添付がある場合に限り、適用されます。この場合において、控除される金額の計算の基礎となる控除対象雇用者給与等支給増加額は、確定申告書等に添付された書類に記載された控除対象雇用者給与等支給増加額が限度とされています。
3 上記の「適用要件(令和4年4月1日以後に開始する事業年度)」の<上乗せ要件>の要件4を満たすものとしてこの制度の適用を受けようとする場合には、教育訓練費の額および比較教育訓練費の額に関する次の事項を記載した書類を、保存する必要があります。
(1) 教育訓練等の実施時期、内容、対象となる国内雇用者の氏名
(2) 教育訓練等の費用を支出した年月日、内容および金額ならびに相手先の氏名または名称
根拠法令等
措法42の4、42の12、42の12の5、措令27の12の5、措規20の10
タックスアンサーNo.5927-2参照
[令和5年4月1日現在法令等]