2023-12-11
寄附金の範囲と損金不算入額の計算
対象税目
法人税
概要
法人が寄附金を支出したときは、原則として一定額を超える部分の金額は損金の額に算入されないこととなっています。
寄附金の範囲
寄附金とは、寄附金、拠出金、見舞金その他いずれの名義をもってするかを問わず、法人が行った金銭その他の資産または経済的利益の贈与または無償の供与をいいます。
金銭その他の資産または経済的利益の贈与または無償の供与であっても、法人の事業遂行と直接関係のあると認められる広告宣伝および見本品の費用その他これらに類する費用並びに交際費、接待費および福利厚生費とされるものは、寄附金から除かれます(詳しくは、コード5262「交際費等と寄附金との区分」を参照してください。)。
法人税法上の寄附金に該当するかは個々の実態により判断しますが、例えば、社会事業団体、政治団体に対する拠金や神社の祭礼等の寄贈金などのように、事業に直接関係ない者に対する金銭でした贈与は、原則として寄附金として取り扱われます。
また、法人が寄附金として支出したものであっても、法人の役員等が個人として負担すべき性格を持つ支出は、その者に対する給与となり、寄附金から除かれます。
寄附金の額は、金銭で贈与をした場合にはその金銭の額、金銭以外の資産の贈与や経済的な利益の無償の供与の場合には、その贈与や供与の時における時価で計算します。また、低額譲渡等のような場合で、その差額が実質的な贈与等をしたと認められるときは、その差額で計算することとなります。
寄附金の支出の意義
法人税法上、寄附金については、法人の経理処理にかかわらず、現実に金銭等により支払いが行われたときにその支出があったものと認識することとされています。したがって、未払寄附金および手形払の寄附金で未決済のものは寄附金に含まれませんが、仮払寄附金は寄附金に含まれることとなります。
損金算入限度額の計算
法人が各事業年度で支出した寄附金については、次の1~6の寄附金の支出先の区分に応じて損金算入額に係る取扱いが定められており、概要は次のとおりです。
1 一般の寄附金
法人が一般の寄附金(次の2~6以外の寄附金)を支出したときは、寄附金を支出する法人の(1)または(2)の区分により計算した金額(損金算入限度額)の範囲内で損金の額に算入されます。
(1) 普通法人、協同組合等および人格のない社団等((2)に掲げるものを除きます。)
〔(期末の資本金の額および資本準備金の額の合計額または出資金の額) ×当期の月数を12で割った数×1,000分の2.5+所得の金額×100分の2.5〕×4分の1=〔損金算入限度額〕
(2) 普通法人、協同組合等および人格のない社団等のうち資本または出資を有しないもの(法人課税信託に係る受託法人を含みます。)、非営利型の一般社団法人および一般財団法人ならびにNPO法人(認定NPO法人を除きます。)などのみなし公益法人等
〔所得の金額×100分の1.25〕=〔損金算入限度額〕
2 完全支配関係がある他の法人に対する寄附金
内国法人が各事業年度において完全支配関係(法人による完全支配関係に限ります。)がある他の内国法人に対して支出した寄附金の額(法法25の2②に規定する受贈益に対応するものに限ります。)はその全額が損金の額に算入されません。
3 国または地方公共団体(以下「国等」といいます。)に対する寄附金
法人が国等に対する寄附金を支出したときは、原則として、支出した全額が損金の額に算入されます。
4 指定寄附金
法人が指定寄附金(公益法人等に対する寄附金で、一定の要件を備えるものとして財務大臣が指定したもの)を支出したときは、原則として支出した金額の全額が損金の額に算入されます。
上記の一定の要件を備えるものとして財務大臣が指定したものについては、財務省ホームページの「税制関係の主な告示(法人税関係)」に掲載されていますので、詳細は、そちらをご参照ください。
5 特定公益増進法人に対する寄附金
公益法人等(非営利型の一般社団法人、一般財団法人を除きます。)以外の法人が、特定公益増進法人に対してする寄附金については、一般の寄附金に係る損金算入限度額とは別枠で、コード5283「特定公益増進法人に対する寄附金」の「損金算入限度額の計算」により計算した特別損金算入限度額の範囲内で損金の額に算入されます。
なお、特定非営利活動法人のうち一定の法人が行う特定非営利活動に係る事業に対する寄附金についても特定公益増進法人に対する寄附金と併せて上記の特別損金算入限度額の範囲内で損金の額に算入されます。
6 国外関連者に対する寄附金
法人がその法人の国外関連者(内国法人との間に一定の特殊の関係のある外国法人をいいます。)に対して支出した寄附金の額は、その全額が損金の額に算入されません。
7 特定公益信託に対する支出金
法人が公益信託二関スル法律第1条に規定する公益信託で一定の要件を満たす特定公益信託の信託財産とするために支出した金銭は、寄附金とみなして、上記1又は5の損金限度額の計算の規定を適用します。
根拠法令等
法法37、法令73、75、法基通9-4-2の2、9-4-2の3、9-4-2の4、9-4-2の6、9-4-8、措法66の4③
タックスアンサーNo.5281参照
[令和5年4月1日現在法令等]