2020-06-30
修繕費とならないものの判定
対象税目
法人税
概要
固定資産の修理、改良等のために支出した金額のうち、その固定資産の維持管理や原状回復のために要したと認められる部分の金額は、修繕費として支出した時に損金算入が認められます。
ただし、その修理、改良等が固定資産の使用可能期間を延長させ、または価値を増加させるものである場合は、その延長および増加させる部分に対応する金額は、修繕費とはならず、資本的支出となります。
修繕費になるかどうかの判定
修繕費になるかどうかの判定は修繕費、改良費などの名目によって判断するのではなく、その実質によって判定します。
例えば、次のような支出は原則として修繕費にはならず資本的支出となります。
1 建物の避難階段の取付けなど、物理的に付け加えた部分の金額
2 用途変更のための模様替えなど、改造や改装に直接要した金額
3 機械の部分品を特に品質や性能の高いものに取り替えた場合で、その取替えの金額のうち通常の取替えの金額を超える部分の金額
ただし、一つの修理や改良などの金額が20万円未満の場合またはおおむね3年以内の期間を周期として行われることが既往の実績その他の事情からみて明らかな修理、改良などである場合は、その支出した金額を修繕費とすることができます。
修繕費であるか資本的支出であるかが明らかでない金額がある場合
次に、一つの修理、改良などの金額のうちに、修繕費であるか資本的支出であるかが明らかでない金額がある場合には、次の基準によりその区分を行うことができます。
1 その支出した金額が60万円未満のときまたはその支出した金額がその固定資産の前事業年度終了の時における取得価額のおおむね10パーセント相当額以下であるときは修繕費とすることができます。
2 法人が継続してその支出した金額の30パーセント相当額とその固定資産の前事業年度終了の時における取得価額の10パーセント相当額とのいずれか少ない金額を修繕費とし、残額を資本的支出としているときは、その処理が認められます。ただし、上記の一つの修理、改修などの金額が20万円未満の場合またはおおむね3年以内の期間を周期として行われることが明らかな修理、改修などである場合の費用および上記1の適用のある支出額については、それぞれの取扱いが優先して適用されます。
災害により固定資産について被害を受けた場合
災害により被害を受けた固定資産(被災資産)について支出した金額については、次により資本的支出と修繕費の区分をします。ただし、評価損を計上した被災資産を除きます。
1 被災資産につきその原状を回復するために支出した金額は修繕費とします。
2 被災資産の被災前の効用を維持するために行う補強工事、排水または土砂崩れの防止などのために支出した金額については、法人が修繕費とする経理を行っている場合はその処理が認められます。
3 法人が賃借資産(賃借をしている土地、建物、機械装置等をいいます。)につき修繕等の補修義務がない場合においても、その賃借資産が災害により被害を受けたため、その法人が、その賃借資産の原状回復のための補修を行い、その補修のために要した費用を修繕費として経理したときは、その処理が認められます。
法人が修繕等の補修義務がない販売をしたまたは賃貸をしている資産につき補修のための費用を支出した場合においても同様です。
4 被災資産について支出した金額(上記1および2の金額は除きます。)のうち、修繕費であるか資本的支出であるかが明らかでないものがある場合において、法人がその金額の30パーセント相当額を修繕費とし、残額を資本的支出とする経理を行っているときは、その処理が認められます。
ただし、被災資産の復旧に代えて新規に資産を取得したり、災害の発生を契機としての貯水池や避難緑地などを設置したりする場合は、新たな資産の取得になりますので、修繕費としての処理は認められません。
根拠法令等
法令132、法基通7-8-1~6、7-8-10
タックスアンサーNo.5402参照
[令和5年4月1日現在法令等]