退職所得の収入金額の収入すべき時期

対象税目

源泉所得税

 

概要

退職手当等がいつの年分の所得となるかは、その退職手当等の収入すべきことが確定した日がいつであるかにより判定します。

退職手当等の収入すべきことが確定する日は、一般的には退職手当等の支給の基因となった退職の日ですが、次の退職手当等は、それぞれ次に掲げる日とされます。

 

役員に支給される退職手当等

退職手当等の支給について株主総会その他正当な権限がある機関の決議を要するものは、その役員の退職後その決議があった日。ただし、その決議が退職手当等を支給することだけを定めるにとどまり、支給金額が具体的に定められていない場合には、支給金額が具体的に定められた日とされます。

 

退職給与規程の改訂による差額に相当する退職手当等

その支給日が定められているものはその支給日、支給日が定められていないものは、改訂の効力が生じた日となります。

 

退職手当等とみなされる一時金

一時金の支給の基礎となる法令、契約、規程または規約により定められた給付事由が生じた日。

ただし、一の勤務先を退職することにより、その勤務先から退職手当等の支給を受けるほか、一時金が支払われる場合には、その一時金は、退職手当等のうち最初に支払を受けるべきものの支払を受けるべき日の属する年分の退職所得とされます(下記「一の勤務先の退職により2以上の退職手当等の支払を受ける場合」のとおり)。

 

引き続き勤務する者に支払われるもので退職手当等とされるもの

(1) 役員であった勤続期間に対するものについては、上記「役員に支給される退職手当等」の決議があった日または支給額が具体的に定められた日

(2) 使用人であった勤続期間に対するものについては、それぞれ次に掲げる日

イ 退職給与規程等の制定または改正に伴う退職手当等:その支給を受けた日

ロ 使用人の役員昇格または執行役員就任に伴う退職手当等:使用人から役員または執行役員になった日

ハ 退職給与規程等の制定または改正によりその制定または改正の時に既に役員に就任している人全員に支払う退職手当等:退職給与規程の制定または改正の日

ニ 定年再雇用に伴う退職手当等:定年に達した日

ホ 定年の延長により延長前の定年に達した人に支給する退職手当等:延長前の定年に達した日

ヘ 法人の解散後も引き続き清算事務に従事する人に支給する退職手当等:法人の解散の日

 

年金に代えて支払われる一時金で退職手当等とされるもの

退職手当等とされるものの給付事由が生じた日。ただし、退職の日以後その退職に基因する退職手当等の支払を既に受けている人に一時金が支払われる場合には、その退職手当等のうち最初に支払われたものの支給期の属する年分の退職手当等となります(下記「一の勤務先の退職により2以上の退職手当等の支払を受ける場合」のとおり)。

なお、確定拠出年金法の規定に基づき支給される一時金の場合は、最初に支払われた退職手当等があったとしても、確定拠出年金法の規定により定められた給付事由が生じた日が収入すべき日となり、最初に支払われたものの支給期の属する年分にはなりません。

 

一の勤務先の退職により2以上の退職手当等の支払を受ける場合

次のように、一の勤務先を退職することによって2以上の退職手当等の支払を受ける権利を有することとなり、退職手当等が年を異にして支払われる場合には、2以上の退職手当等のうち、最初に退職手当等の支払を受けるべき日の属する年分の退職手当等とされます。

(1) 勤務先を退職することにより、その勤務先から退職手当等の支払を受けるほか、所法第31条各号に掲げる退職手当等とみなされる一時金(確定拠出年金法の規定に基づき老齢給付金として支給される一時金を除きます。)の支払者からもその一時金を受けることとなる場合

(2) 退職により退職手当等の支払を受けた人が、その後退職給与規程の改訂等により退職手当等の差額の支払を受けることとなる場合

上記に掲げる場合であっても、(1)の一時金または(2)の差額の支給期がその支払を受ける人の死亡後に到来したときは、これらの一時金または差額については、最初に支払われたものの支給期の属する年分にはなりません。

 

根拠法令等

所令77、所基通30-4、31-1、36-10、36-11

 

関連リンク

◆関連する質疑応答事例《源泉所得税》

非居住者の間に退職した者が帰国後に退職給与規程の改訂により支払を受ける改訂差額

 

タックスアンサーNo.2728参照

[令和4年4月1日現在法令等]